《言葉は心を映す鏡》

介護職員のサービスの質にも影響する言葉遣い

決して使ってはならないNGワードや言葉遣いとは

介護の現場で働き始めてすぐの頃や新しい利用者さんなどに対して、どう声をかけていいのか分からないという経験をした人は少なくないだろう。その際に使ってはいけないNGワードや言葉遣いがある。

まずタメ口はNGだ。介護の仕事を通してどれだけ親しい関係を築けたとしても、利用者さんはお客様であり、人生の先輩であるということも忘れてはならない。上から目線の口調も厳禁である。利用者さんは加齢や病気などによって介助を必要としている人だが、だからと言って「食べさせてあげますね」というような傲慢な態度は決してしてはならない。利用者さんに寄り添い、思いやる気持ちが大切である。
また、子供扱いするような言葉遣いもNGである。利用者さんは介助を必要としているが、さまざまな経験を重ねてきた人生の先輩であり、子供扱いはたいへん失礼なので気をつけるべきだ。

どんなに親しくなっても、呼び捨て・あだ名も失礼に当たる。利用者さんと年齢が近めの50代以上の介護職員に多く、親しみを込めての呼び方なのかもしれないが、たいへん失礼である。ちゃん付けや君付けで呼ぶのも同様で、避けるべき呼び方だと言える。

命令口調も決して使ってはならない。利用者さんが思うように動けなくても、「座りなさい」など強い口調を使わず敬いの気持ちを忘れないようにしよう。「座りましょう」といった優しい口調を心掛けるべきである。
侮辱するような言葉もNGだ。認知症など病気の影響でコミュニケーションが上手く取れない利用者に対して、「呆けてる」などと表現するようなことは、例え職員同士であっても決してならない。

言葉遣いひとつで介護の雰囲気は変わる

利用者さんと円滑なコミュニケーションをとっていくことは、介護の現場で欠かせない。その上で大切になるのが言葉遣いだ。

人とのコミュニケーションにおいて、言葉遣いは非常に重要なものである。同じ言葉を伝えるとしても、敬語で丁寧に接するのと、赤ちゃん言葉や命令口調で接するのとでは印象が大きく異なってくるだろう。
介護の施設において利用者さんは身体的に不自由であることが当たり前だが、施設における大切なお客様なのだ。そして、介護士にとっては人生の大先輩と言える。そういった関係をきちんと理解していれば、自然と敬語を使い丁寧な接し方をしていくべきことは考えなくともわかるだろう。

言葉遣い一つで人と人との関係や職場の雰囲気、社会的信用には大きな違いが出てくる。この点についてはきちんと理解しておかなければならない。

言葉遣いが乱れていると、施設と利用者の雰囲気も悪くなってしまう。また、乱れた言葉遣いが伝染、常態化することで職員全体のレベルが低下することも懸念される。言葉遣いは職場のホスピタリティのレベルに大きく影響するので、ささいな乱れにも注意していかなければならない。言葉遣いの乱れや歪みは、放置しておくと行動にも影響を及ぼし、サービスの質の低下が顕著になる。そして、最悪の場合は虐待に繋がる可能性も出てくる。利用者さん側も、職員の言葉遣いにストレスを溜めてしまうと暴力的になったりケアに非協力的になってくることが心配される。言葉遣いひとつで仕事に大きな影響が出てくるということはきちんと理解しておこう。言葉遣いを極めたい介護職員は、「見直そう、介護士の言葉遣い」の記事もぜひチェックしてほしい。